『ダウ理論とは』分かりやすく解説
どうも初めまして、FXトレーダーのジョーと申します。
為替取引で使われる理論は数多く存在しますが、私がその中でも一際重要視するのが『ダウ理論』です。
私の周りでも『ダウ理論』を独自の手法と絡ませ実際に勝っている方が相当数いるのも事実です。
今回はこの『ダウ理論』について分かりやすく解説を行います。
『ダウ理論』の起源
米国が『西部開拓時代』に沸いた19世紀後半、金融ジャーナリストでもあった『チャールズ・ヘンリー・ダウ』が『株価は全ての事象を織り込む』という独自の『ダウ理論』を提唱します。
この『ダウ理論』、今では株に留まらず、FXはもちろんのこと金融マーケットでは長く利用され続け、『テクニカル分析』の祖と言われているのも皆さんご周知の事でしょう。
『チャールズ・ヘンリー・ダウ』
チャールズ・ヘンリー・ダウ(Charles Henry Dow)
1851年11月6日 – 1902年12月4日没
米国のジャーナリスト兼証券アナリスト
『チャールズ・ダウ』はアメリカ・コネチカット州スターリング生まれで、ハイスクールを中退後、新聞記者になります。
彼は主にニューヨーク証券取引所で相場に関する記事を執筆し、その取材の経験を活かし『株価は全ての事象を織り込む』という独自の『ダウ理論』を提唱します。
これを機に『チャールズ・ダウ』はテクニカル分析の先駆者の一人になります。
1882年には『チャールズ・ダウ』、エドワード・ジョーンズ、チャールズ・バーグストレッサーと共にダウ・ジョーンズ社を設立。
当初は手書きで書いた『経済ニュースレター』を『チャールズ・ダウ』自らウォール街の証券関係者に配布を始めます。
以後、このニュースレターは為替関係者の中でたいへん評判となり、やがて広く出回り、1889年の7月に皆さんご存じのウォールストリート・ジャーナル紙となります。
このウォールストリート・ジャーナル紙に1896年、『チャールズ・ダウ』は、株価動向を示す指標としてダウ・ジョーンズ工業平均株価の掲載を始めます。
この『ダウ・ジョーンズ工業平均株価』は、今日でも証券関係者に幅広く利用され続けているのは言うまでもありません。
その後『チャールズ・ダウ』は各事業で偉業を成し、1902年、ニューヨークのブルックリンで亡くなります。
『ダウ理論』における6つの柱
チャールズ・ダウが提唱した『ダウ理論』は、下記に示す6つの柱から成ります。
- 市場、すなわち『為替レート』はすべての情報を織り込む
- 為替レートの『トレンド』には3つの波動がある
- 『トレンド』には3つの局面がある
- 『トレンド』は明確な終わりのシグナルが発生するまで続く
- 『トレンド』は複数の指標によって確認すべき
- 『トレンド』は出来高によって確認できる
1.市場すなわち『為替レート』はすべての情報を織り込む
私達トレーダーが見る『為替レート』は、世界における様々な経済状況やファンダメンタルズの影響を受けています。
例えば要人発言や世界各国の中央銀行における金融政策、またマーケットに参加する投資家達の利益確定や損切りを含め様々な思惑が含まれます。
こういった背景があり『為替レート』は日々変動するのですが、『チャールズ・ダウ』が提唱する1つがこの事を指します。
分かりやすく言うと、世界中における全ての情報は『相場』に織り込まれているということです。
この『チャールズ・ダウ』の考え方は、チャート分析が投資の最重要ツールであることに対する理論的な根拠となり、今ではテクニカル分析の礎にもなっています。
2.為替レートの『トレンド』には3つの波動がある
『ダウ理論』を語るうえで大前提があります。
それは『為替の値動きはトレンドによって支配されている』という考え方です。
『ダウ理論』を用いたトレードでは必ずトレンドに乗った取引をする(順張り)という事が大前提です。
今では常識となった手法でもありますが、このベースを築いたのは『ダウ理論』そのものです。
また『チャールズ・ダウ』は、この『トレンド』には3つの種類があると提唱しています。
『基本トレンド』3つの柱
1).1年から数年間続く『長期トレンド』
目安:1年~数年間
2).数週間から数ヶ月程度の『中期トレンド』
目安:数週間~数か月程度
※ここで言う『中期トレンド』は主に『長期トレンド』とは逆方向の調整局面を指し、その修正幅は33%から66%に及ぶと考えられています。
いわゆる『3分の1押し』や『3分の2戻し』と言われるものです。
3).1時間から1ヵ月程度の『短期トレンド』
目安:1時間~1か月程度
※通常、FXではスキャルピングを行うのであれば『短期トレンド』を選び、デイトレードであれば『短・中期トレンド』を、またスイングトレードなら『中・長期トレンド』を選びトレードを行います。
分かりやすく言うと『トレーダー』がどの時間軸でトレードをするかにより、異なった『トレンド』を意識する必要性があるということです。
3.『トレンド』には3つの局面がある
『チャールズ・ダウ』は投資家の心理を3つに分類しています。
これは『ダウ理論』の『トレンドの3局面』と呼ばれるものです。
最初は『先行期』から始まり、次に『追随期』、最後に『利食い期』です。
これらは相場の単なる値動きではなく、その裏にある投資家たちの事情(思惑)から、相場の流れ(トレンド)には3つの局面があるというものです。
では1つ1つ解説します。
1.『先行期』
マーケット全体の動き(考え)に対し、一部の抜け目ない投資家が『買い集め』を行う時期を言います。
これは『先行期』と呼ばれ、一部の投資家が『買い集め』をする段階です。
通常、大口投資家などは底値で買い玉を集めていくので比較的緩やかにレートは上昇します。
大口以外の小口投資家は、この段階ではトレンドが読めず、『買い』行動に移しにくい状況が続きます。
2.『追随期』
『先行期』ではまだ緩やかだった値動きがマーケット全体がその動きに対し、急激な価格変動を起こします。(※チャート分析を行うトレンド重視の投資家たちが『買い』を入れる段階です。)
3.『利食い期』
マーケットの流れに煽られた参加者たちが、超短期を含む投機的な『買い』を入れ続けマーケットはバブルの様相を見せます。
しかし『先行期』で『買い』を入れた投資家たちは『売り抜け』を一挙に行い、マーケットにおけるトレンドが終焉する流れとなります。
結局、『利食い期 』で『買い』を入れた投資家たちは高値掴みをする結果となり、大きな損失を出します。
FXの取引では大変難しい局面となりますが、こういった損失を出来るだけ抑えるためにはテクニカル分析を使い『追随期』でトレンドに上手く乗ることが重要です。
これら『トレンドの3局面』と言われるものは、『チャールズ・ダウ』自ら長くマーケットと向き合った経験を基に、投資家の深層心理を明確に表したものと言えるでしょう。
4.『トレンド』は明確な終わりのシグナルが発生するまで続く
『ダウ理論』では、トレンドは『マーケットのおける雑音(ノイズ)のようなもの』と『チャールズ・ダウ』は説いています。
これはマーケットが何かの要因で一時的な影響を受け価格変動を起こせば、更にマーケットが大きく動き出す可能性があるという事を意味します。
実は『ダウ理論』で最も重要とされている部分がここにあります。
ここで『チャールズ・ダウ』が着眼したのが直近の高値と安値です。
では分かりやすく海の『満潮』・『干潮』に例えて説明します。
海は一見しただけでは今が『満潮』なのか『干潮』なのか分かりせん。
しかし、しばらく海面を見ていると上に向かっているのか下に向かっているのか分かり始めます。
海面が以前の地点を次から次へと越えてくれば満潮に向かうと判断でき、逆に下がるようなら『干潮』に向かっていると判断できるものです。
トレンドもコレと同じで、それまでの直近高・安値を一時的ではなく、次々に明確に上回ったり下回ったりするような状態(事象)が起これば上昇トレンドもしくは下降トレンドに入ったと確認出来ると言う事です。
では上記の様に直近高・安値を更新しなければどういう事になるでしょう。
それが『ダウ理論』でいう『トレンドは明確な終わりのシグナルが発生するまで続く』の『明確なシグナル』となる訳です。
上記参照図は『ダウ理論』における上昇トレンドと見なされるスケッチです。
直近の高・安値を切り上げて、上昇を継続(上昇トレンド)するのが確認できます。
上記参照図は『ダウ理論』における『下降トレンド』と見なされるスケッチです。
直近の高・安値を切り下げて、下降を継続(下降トレンド)するのが確認できます。
上に示す図は『ダウ理論』における『転換期』と見なされるスケッチです。
『上昇トレンド』に勢いがなくなり、継続してきた直近高・安の切り上げを行わず、切り下げに転換し最後は下落していきます。
5.『トレンド』は複数の指標によって確認すべき
これは当時、『チャールズ・ダウ』が活躍した時代、工業平均株価と鉄道平均株価の間に相関関係を発見した事を具体的に書いたものです。
分かりやすく言うと『工業』で生産された『製品』は、当時は別の『鉄道会社』により運搬されていました。
『工業』の景気が良くなれば当然『製品』が大量に生産されます。
これによって大量に生産された『製品』を運ぶ『鉄道会社』の景気も良くなるというものです。
これはどちらかが上がれば片方も上がる、またはどちらかが上がれば片方が下がるといった相関・逆相関を相場取引に役立てるといった考え方です。
現在の通貨ぺアで例えるなら相関性の強い『ドル/円』と『ユーロ/ドル』が分かりやすいと思います。
こういった相関性を観察し、実際にFXでの取引に役立てる事も出来ます。
また『チャールズ・ダウ』は、こういった相関性のあるモノの動向をチェックすることも、トレンドを捉える際には必要不可欠だと提唱しています。
6.『トレンド』は出来高によって確認できる
『チャールズ・ダウ』はトレンドには本物のトレンドと、見せかけのトレンドの2種類があると提唱しています。
『チャールズ・ダウ』が提唱する本物のトレンドとは、トレンドが発生する際には出来高も大きくなるというものです。
逆に出来高が伴わない上昇、もしくは下落の場合は騙しの可能性が高く、本物のトレンドではないという事です。
また出来高を伴った上昇 (下降)トレンドで、次第に出来高が減少している場合はトレンドの終焉が近いと示していることが多く、トレンドの転換を捉えるのにも役立ちます。
こういった事象をチャートで確認するには、ロウソク足のヒゲの長さを各時間軸で監視することが重要です。
直近高・安値を更新すると思いきや、終値が確定するとロウソク足の実体レベルでは更新せず、結局は騙しだっというパターンがトレードでは多く見受けられます。
こういった局面では『ダウ理論』をシッカリとあてはめ、トレードを行う事が重要となるでしょう。
『ダウ理論』まとめ
今回解説した『ダウ理論』ですが、私は為替取引を始めた当初から現在も尚、研究し続けている重要な『理論』です。
自身のロジックでは無くてはならないものです。
FXを始めた当時の『ダウ理論』と、今扱う『ダウ理論』は捉え方も全く異なるものになりました。
冒頭にも書き留めましたが『ダウ理論』の賛否はトレーダーによって様々です。
しかし私は『ダウ理論』のお陰で『継続して勝てる』トレーダーになれたと言っても過言では無いと思っています。
今日では様々な『為替理論』が多く出回り、FX初心者はどれを信じれば良いのか分からない状況があると思います。
そういった方には是非『ダウ理論』を推奨します。
ご自身でシッカリと深堀し、検証を行う事で実践で使用できる凄味の有る『理論』だと最後に書き留めて置きましょう。