『為替レート』とは
『為替レート』と『為替相場』、実はどちらも同じ意味だと言う事はご存知でしたか。
今回は『為替レート』について詳しく解説していきます。
『為替レート』とは、『為替相場』とも呼ばれています。
簡単に説明すると、外国為替市場において、『Aという国の通貨』と『Bという国の通貨』の交換比率を表したものです。
またこのAとBの通貨の組み合わせを『通貨ペア』と呼んでいます。
現在はアメリカドルが『基軸通貨』なので、外国為替市場では主にアメリカドルを基準にした各通貨の交換比率が表示されます。
例えば『ドル/円』の『為替レート』と言った場合は、『ドル』に対する『円』の価格を指します。
また、『ドル/円』が上昇するとは、『ドル』の価格が『円』に対して上昇することを指し、これとは逆に『ドル/円』が下落するとは、『ドル』の価格が『円』に対して下落する事を指します。

『為替レート』における『表示方法』の種類
自国通貨建とは
例えば『1ドル=100円』という表示方法は、日本にとっては『自国通貨建て』、アメリカにとっては『外貨建て』という事になります。
外国通貨建て(外貨建て)とは
例えば『1円=0.01ドル』という表示方法は、日本にとっては『外貨建て』になり、アメリカにとっては『自国通貨建て』という事です。
『為替レート』の種別は4種
- インターバンクレート
- カスタマーズレート
- 直物為替レート
- 先物為替レート
『インターバンクレート』と『カスタマーズレート』
『直物為替レート』と『先物為替レート』
『為替レート』は、通貨の受け渡し時期により、『直物為替レート(直物相場)』と『先物為替レート(先物相場)』の二つに分類されます。
【直物為替レート】とは
取引日から2営業日後に通貨の受け渡し(資金決済)が行われる『為替レート』の事を指します。
【先物為替レート】とは
取引日から3営業日以降の特定日に通貨の受け渡し(資金決済)が行われる『為替レート』の事を指します。
『為替レート』の特徴
『為替レート』は、市場に参加する人の様々な思惑によって取引されています。こういった中、下記に示す『為替レート』の特徴が幾つか見受けられます。
- 単なる通貨の両替価格ではないという事。
- 実際には外国通貨や外貨手形などを売買する形をとるので、『外国為替』という商品の価格と言えます。
- 基軸通貨であるアメリカドルを基準に相場を見る傾向があります。
- 『為替レート』は随時上下に動き、時間の経過と共にジグザグ(山、谷)や反転を繰り返しトレンドを形成していく特徴があります。
- カレンシーボード制 < 固定相場制 < 管理変動相場制 < 変動相場制 の順番でマーケットの変動幅が大きくなる特徴があります。

『為替レート』を動かす8つの要因
『為替業レート』を動かす主な8つの要因について個々に解説します。
- 貿易収支
- 投資収支
- 景気動向
- 金利
- 物価
- 金融政策の動向
- 地域紛争や自然災害
- 市場心理
1.『貿易収支』
『貿易収支』を分かり易く『クルマ』に例えて説明しますのでイメージして下さい。
先ず日本で造ったクルマをアメリカに輸出します。
そのクルマがアメリカで売れたとします。(アメリカなのでドルで買われます)
この売買時に入った企業のドルは日本へ戻す時に自国通貨の円に換えられます。
この一連の流れは『ドルを売って』、『円を買う』という動きです。
単純に『円高ドル安』にマーケットは傾きます。
今度は逆に日本の企業でアメリカ車の販売を手掛けている企業があったとします。
クルマをアメリカから輸入し、代金を本国(アメリカ)へ支払う度に円をドルに換える必要性があります。
コレは『円を売って』、『ドルを買う』という行為です。
もうお分かりですね、これは『ドル高/円安』です。
この一連の動きを、国単位でマトメたものが『貿易収支』と言われるものです。
では『貿易収支』が黒字の国は、どういう状態のことを言うのでしょうか?
『貿易収支』が黒字というのは『輸入』より『輸出』が多いということ、つまり日本で例えると、『円を売る』取引より『円を買う』取引が多いという状態の事を指します。
また『貿易収支』が黒字の国の通貨は高くなる傾向があり、実際に発表される『貿易収支』の黒字額が予想より大きいと、通貨の価値は更に上がり易くなります。
※『貿易赤字』はこの真逆となります。

2.『投資収支』
例えば日本の投資家が、アメリカの株や債券を買うためには、円を米ドルに換える必要性があります。
逆にアメリカの投資家が、日本の株や債券を買うには米ドルを円に換える必要性があります。
これを国単位でマトメたのが『投資収支』です。
株や債券が買われる国の通貨は上がりやすく、売られる国の通貨は下がりやすいと言う事です。
日本の株や債券が買われる場合には『円高』、日本の株や債券が売られる場合には『円安』要因になります。
3.『景気動向』
国の景気が良いということは、その国の経済活動が活発であるということを意味します。
こういった国の株価の値上がりを見込み、その国の株式市場には海外から投資機関の流動資金が入ってきます。そうなれば通貨高の要因になります。
またアメリカに関して言えば、毎月第一金曜日に発表される『雇用統計』が景気動向を見る最も重要な経済指標として注目を集めます。(※アメリカの雇用統計は世界中が注目する1番の経済指標です。アメリカの経済動向で世界経済が左右されます)
この指標の数値が予測より高ければ『米ドル高』、低ければ『米ドル安』となる傾向があります。
※日本の『景気動向』を判断する『景気指標』の解説はココをクリック!
4『金利』
外貨預金の最大の魅力は『金利』が高いことです。
日本では『低金利』が長く続いていますので、相対的に『金利』の高い国の通貨で預金をすれば、円預金よりも『高い金利』で外貨建てができます。
またこういった風に『低金利』の円を売って『金利』の高い国の通貨を買う取引が増えれば増えるほど円安要因となります。
つまり『金利の低い国の通貨は売られやすく』、『金利の高い国の通貨は買われやすい』ということです。

5.『物価』
『高金利』=『通貨高』とならない場合が稀にあります。
『物価』が上昇するということは『モノの価値が上がり』、『通貨の価値が下がる』ということになります。
つまり『物価上昇率』が高い国の通貨は価値が下がることになるので、売られやすくなると言う事です。
物価が上がり過ぎると、その国の政府や中央銀行は金利を上げて物価上昇を抑えようとします。
こういった理由で新興国の通貨は『金利』が高いことが多いのですが、しかし『金利』が幾ら高くても通貨の上昇要因とはなりにくい場合もあり、長期的には通貨価値の下落につながる可能性もあるという事です。

6.『金融政策の動向』
国の中央銀行は物価や景気の安定化を図るために『金融政策』を実施します。
経済成長率の悪化や、物価の下落が見込まれる場合がそのタイミングです。
その結果、経済成長率が立て直し物価が上昇するといった傾向がでてきます。
各国の中央銀行における景気の動向判断で、『金融政策』が打ち出された場合は為替レートが大きく動く可能性があるという事です。

7.『地域紛争や自然災害など』
地域紛争やテロ事件、自然災害などの有事があると経済が混乱すると一般には考えられています。
そういった事象が起こった国や周辺国の通貨、また関係国通貨は下落する可能性が大きくあります。
8.『市場心理』
昨今での通貨取引は、貿易など実際の物(商品等)などの輸出入に関わる需給よりも、FXを含む投資や投機など、通貨売買そのものによって利益を得ようとする取引のほうが今では圧倒的に多くなっています。
そのため、上がったから買う、下がったから売るというような為替レートの動き自体が『買い』や『売り』につながり、特別な理由もなく乱高下したりするのも『市場心理』から来るものです。