目次
『移動平均線』とは
FXでトレードを行うなら『移動平均線』は必ず知っておくべき重要なテクニカルです。
今回は初心者の方にでも『移動平均線』をわかりやすく解説し、また『移動平均線』を使用した手法等も併せて紹介します。
『移動平均線』とは、何日分かの終値の合計を、その間の日数で割った数値を線で結んだものと理解して下さい。
この『移動平均線』を使う事で、ある程度の相場観も養うことができます。
『移動平均線』の種類
FXで使用する『移動平均線』は大きく分けて3種類
- 単純移動平均線(SMAもしくはMAとも呼びます)
- 加重移動平均線(WMA)
- 指数平滑移動平均線(EMA)
私が『移動平均線』で使っているのは①の『単純移動平均線』と③の『指数平滑移動平均線』です。
デイトレードがメインなので、直近値動きの平均値を知るテクニカル指標として使っています。
ただ私の場合、この『移動平均線』は稀に画面上にだしているだけで、これを用いてのトレードはしません。
相場の環境認識の補助ツールとして見るぐらいです。
どの平均線を使うかは、扱うトレーダーの考え方や手法によって様々です。
また単純にどれが良いとかは賛否出来ないのも実情です。
初心者の方に特に注意して頂きたいのですが、この『移動平均線』だけでのトレードは絶対に行わないで下さい。
FX界隈で、この『移動平均線』だけを使った手法が公開され、あたかも勝てるような間違った印象を与える情報が多くあります。
こういった手法単体だけでは継続して勝てませんので気を付けて下さい。
もし『移動平均線』をトレードで使用するなら、他のテクニカルなど根拠ある手法と組み合わせて使って下さい。
『移動平均線』の算出方法
例えば5日間(5MA)の『単純移動平均』の場合
(当日終値 + 前日終値 + 2日前終値 + 3日前終値 + 4日目終値)÷5 = 5MA となります。
つまり、直近5日間の終値の合計を日数(この場合は5日間)で割った数値です。
では、次に『移動平均線』の入ったチャートを見てみましょう。
上記参照図はドル/円の5分足チャートに『20日移動平均線』を挿入したものです。(画像クリックで拡大)
良く見るとローソク足の動きと連動しているのが確認出来ます。
『移動平均線』に入る数値(過去の終値)が如何に効いているのかが分かります。
ではもう少し掘り下げましょう。
ローソク足の下に『移動平均線』がある場合は上昇トレンドを形成しているのが分かります。
前述した通り『移動平均線』は、ある一定期間の価格(終値)の平均値です。
『移動平均線』より上で価格が推移しているということは、その期間で買った人ほぼ全員が利益を出したということです。
この為に売り注文が少なくなり、買い注文だけが増え、その結果上昇トレンドを形成します。(下落トレンドは、この逆)
では引き続き参照図を見ていきましょう。
ローソク足の上に『移動平均線』がある時は下降トレンドです。
ではローソク足と『移動平均線』が重なったポイントはどうでしょう?
そうです、揉み合い相場。
いわゆるレンジ相場です。
こういった感じで『移動平均線』をチャートに組み込むと、今の相場がどう動いているかがザックリと分かります。
初心者の方はチャートを見ても相場の方向感が中々掴めません。
そういった場合はこの『移動平均線』をチャートに取り入れるだけで、だいたいの方向感は認識でき、トレードも随分楽になると思います。
移動平均線を使った『パーフェクトオーダー』
私も過去には、この『パーフェクトオーダー』をトレードに取り入れた時期もありました。
現在は独自のロジックで取引しており、こういったテクニカルは使っておりませんが『移動平均線』を使った手法の中でも、この手法は他の手法と組み合わせれば結構使えるテクニカルの一つだと思います。
初心者の方は検証を介し一度実践で使ってみるのも良いでしょう。
『パーフェクトオーダー』とは
『パーフェクトオーダー』とは、3種の『移動平均線』がチャート上で一定方向に向き、且つ規則通りに並びトレンドが発生している状態の事を指します。
『パーフェクトオーダー』を確認するには、下記に示す3種の『移動平均線』を使います。
- 短期移動平均線
- 中期移動平均線
- 長期移動平均線
『パーフェクトオーダー』で使用する移動平均線の種類
下記参照図をご覧ください。
上記参照図は『ドル/円』の5分足チャートです。
上記参照図に示す『移動平均線』
- 20日移動平均線/短期/青ライン
- 75日移動平均線/中期/赤ライン
- 200日移動平均線/長期/紫ライン
※ここでは良く使われる20日と75日、200日の設定で行います。設定がややこしいと思われる方はデフォルトでも大丈夫です。
慣れてくればデフォルトにこだわらず、いろんな数値を試して反応を見て下さい。こういった作業から何らかの『気づき』があるかも知れません。
では参照図の黒枠の中をご覧ください。
左側から上記3種の『移動平均線』が集まりだし、ローソク足にぶつかり始めたのが確認できます。
前述しましたが、『移動平均線』とローソク足がぶつかりあう場所はレンジ相場に入る(入った)可能性が高いという事です。
レンジ相場では、『パーフェクトオーダー』のフォーメーションを組んでも機能しませんので注意が必要です。
あとレンジ相場の確認方法として、『長期移動平均線(参照図では200日移動平均線)』がほぼ横ばい状態になる事も覚えておきましょう。
次にレンジ帯を抜け出し(ローソクを抜けるポイント)、一番上にあった『20日移動平均線(青ライン)』が急下降し、一番下に出てくるのを確認できます。
この時の『移動平均線』の並び方(配列)は、下から『20日(短期)』、中心が『75日(中期)』、上が『200日(長期)』です。
この並び方(配列)が『パーフェクトオーダ』時の必須条件となります。(※上昇トレンドは逆配列)
では、この時の各移動平均線の方向性はどうでしょう?
3種とも斜め下方向に傾いているのが確認できます。
これも必須条件ですので覚えておきましょう。
次に『20日移動平均線(青ライン)』が『75日移動平均線(赤ライン)』を超えるあたりのローソク足の動きを見て下さい。
一挙に下降を始めているのが確認できます。
トレンドが強くなりだしたという事象です。
その後もトレンドが継続する状況の中、3種の『移動平均線』も『パーフェクトオーダー』のフォーメーションを随時組んでいるのが確認できます。
『パーフェクトオーダー』が形成された場合、その性質上トレンドは長く継続します。
逆に言うと、短い期間のトレンドでは『パーフェクトオーダー』は形成されにくいという事です。
あと、ここで一つ注意したいのがトレンド発生時での『移動平均線』の傾きです。
『パーフェクトオーダー』では『移動平均線』の傾きがキツければキツいほどトレンドが強いという事も覚えておきましょう。
またこういった事象はトレンドが長く継続する傾向があります。
『パーフェクトオーダー』のマトメ
✔各移動平均線の方向性
1本でも異なった方向を向いているなら『パーフェクトオーダー』ではありません。仮にトレードを行っても根拠の薄い手法となります。
✔各移動平均線の並び方(配列)
- 下降トレンドなら下から順に短期・中期・長期
上昇トレンドなら下から順に長期・中期・短期
✔その場所にトレンドは発生しているのか?
レンジ相場ではないかの確認
✔オーダーは必ずトレンドフォロー(順張り)で入ること
逆張りでは入らない
✔この手法だけでトレードは行わないこと
『パーフェクトオーダー』だけでは根拠が弱いので、他の手法等と絡ませ取引するのがベスト
『ゴールデンクロス』と『デッドクロス』を使った手法
初心者の方でも聞いたことがあると思うのですが、『移動平均線』を使った『ゴールデンクロス』と『デッドクロス』も覚えておいて損はない手法です。
ゴールデンクロスとは
短期の『移動平均線』が長期の『移動平均線』を下から上にクロスする事象を指します。
デッドクロスとは
短期の移動平均線が長期の『移動平均線』を上から下にクロスする事象を指します。
あと『ゴールデンクロス』と『デッドクロス』は相場の転換期だと思われている方は要注意です。
『ゴールデンクロス』と『デッドクロス』は、あくまで相場に転換期が訪れるかも知れないという一つの予兆として捉える事が大切です。
『移動平均線』がクロスしても転換しない相場は山ほどあります。
トレードするにあたり、これも一つの根拠として留めておいて下さい。
チャートで見る『ゴールデンクロス』と『デッドクロス』
下記参照図をご覧ください。
上記参照図はドル/円の1時間足チャートに『移動平均線(20日/青・75日/赤)』を重ねたものです。
矢印で示したものが『デッドクロス』と『ゴールデンクロス』。
では、この参照図を使って解説していきます。
『デッドクロス』と『ゴールデンクロス』を使った手法
先ず左側の『デッドクロス』をご覧ください。
下から上にあがってきた『20日移動平均線(青)』がローソク足に当たり突き抜けています。
その後はローソク足の下へ抜けた後に大陰線を突き抜け、『75日移動平均線(赤)』と『デッドクロス』し下降します。
✓この際の『エントリー』は
- デッドクロスが確定後
- トレンドの発生後
✓『利確』のタイミングは
下降を終えたロウソク足が上昇しつつ『20日移動平均線』へタッチします。
この時が『利確』のタイミングです。
『ゴールデンクロス』はこの逆です。
『ゴールデンクロス』と『デッドクロス』のマトメ
『パーフェクトオーダー』同様に、この『ゴールデンクロス』や『デッドクロス』も単体で勝つのは困難です。
あくまで他の手法と組み合わせることによって使えるテクニカルだという事をご周知下さい。
移動平均線を使った『レンジ相場』の確認方法
ここまで『パーフェクトオーダー』と『ゴールデン&デッドクロス』について解説しましたが、どの手法も『レンジ相場』では使えません。
『移動平均線』を使った『レンジ相場』の見分け方は先ほど説明しましたが、ココで再度確認しておきましょう。
では上記参照図をご覧下さい。
ドル/円の1時間足チャートです。(MAは先程と同じ設定)
『短・長期移動平均線』の両方がローソク足にぶつかり合っているのが確認できます。
ではローソク足の動きはどうでしょう。
MAと同じく横ばいの状態です。
これが『レンジ相場』に入ったという事です。
このパターンを覚えておいて損は無いでしょう。
『レンジ相場』でのトレードは知識と経験が必要となります。
特に初心者の方がこういった『レンジ相場』で取引を行っても勝つのは難しいのが実情です。
『レンジ相場』は静観された方が良いでしょう。
『MACD』の使い方と設定方法を簡単に解説
次にローソク足の実体の大きさと、『MACD(マックディー)』を組み合わせた簡単なテクニカル手法を紹介します。
『MACD』とは
『MACD』とは、短期の『移動平均線』と中長期の『移動平均線』を使用し、買いと売りを判断する手法の事を言います。
日本では『移動平均収束拡散手法』と言います。
この手法も単体だけでは勝ち続ける事が出来ませんので、一つの根拠として捉えて下さい。
過去チャートで検証を繰り返し行ってから実践へ導入しましょう。
では下記参照図をご覧ください。
上記参照図はドル/円の1時間足チャートです。
チャート下欄に『MACD』を出しています。
『MACD』の設定はデフォルトです。(短期:12 長期:26 シグナル:9)
FX業者の扱うアプリには、殆ど『MACD』のインジが組み込まれていると思います。
皆さんも一度チャート画面に出してください。(初心者の方は『MACD』の数値はデフォルトでOK)
では上記参照チャートの左側、赤枠で囲んだポイントをご覧下さい。
ローソク足の実体が大きくなっているのが確認出来ます。
それ以前のローソク足の実体とは、明らかに大きさが異なるのが分るでしょうか。
では、その下にある『MACD』画面をご覧下さい。
大きな実体を伴う陽線の出現前に、『MACD』ラインが『ゴールデンクロス』を形成しているのが確認できます。
その後、ローソク足の実体が大きく出現します。
エントリーするなら、この実体の大きいローソク足(ココでは1時間足)が確定後が良いでしょう。(※上達すれば、下位足に切り替え、細かく動きを追いながらエントリー出来ます)
次に上記参照図の右側(赤枠)をご覧下さい。
先程と同じパターンで、『MACD』が『ゴールデンクロス』を示し、その後に大きな実体の陽線が出現します。
その後、高・安値を更新しながらアップトレンドへと突入して行きます。
このように至ってシンプルな手法なので検証して使えそうならリアルトレードで試してみましょう。
『MACD』のマトメ
この『MACD』も単体だけで勝ち続けることは不可能です。
こういったテクニカルの一つ一つをご自身で検証し、使えそうなら他の手法や理論とを組み合わせて使ってみましょう。
もちろん組み合わせのルールなんてありません。
こういった緻密な検証作業を幾度も重ねる事により新しい『気づき』が生まれるものです。