FXにおける通貨の相関関係
ここ最近の大きな出来事として中国における新型肺炎コロナウィルスの感染拡大のニュースが市場に流れました。
これによって景気や企業業績への影響が警戒され、昨日の27日も東京株式市場は大幅に下落し、機械や素材、景気敏感業種、化粧品などインバウンド関連株中心にほぼ全面安の展開になっています。
コレに対しFXで見るドル円はあまり方向感のない展開が続いているのは何故でしょうか?
こう考えた方も少なく無いと思います。
ドル円に勢いが感じられない理由のひとつとして、実は機関投資家の動向が影響している可能性が非常に大きいのです。
ドル円と株価の連動性
例えば昨年12月、米中貿易協議の第1段階合意の後、イギリス総選挙の与党大勝などを受けて日経平均は約1年ぶりとなる24000円台に回復したのは皆さんご周知の通りです。
その一方で日経平均とドル円の動きは昔なら相関関係を持つことが多かったのですが、今回はドル円が高値を追い続ける様相は殆ど見られず、それどころか下落する場面があったのを皆さんはご存知でしょうか?
こういったマーケットの動きに違和感を覚えるトレーダーの方も多いと思います。
ではなぜこのようなアンバランスな展開になったのか。
その理由のひとつとして挙げられるのが海外投資家が日本株市場への買いポジションに対するリスクヘッジとしてドル円を売っていた可能性が高いと言われています。
ドル円の売りポジションを保有すれば、日経平均が下落し評価損を抱えても前述したドル円の売りポジションで利益が出るため、その分の保険として機能させることが可能です。
リスクヘッジとしては日経平均先物等を使う方法もありますが、ここでドル円をヘッジとして使う理由はいったい何なのか皆さんは分かりますか?
答えは流動性の高さがあるからです。
先物市場での大口のポジションを解消する場合、流動性を担保できません。
価格が暴騰、もしくは暴落してしまう可能性もでてきます。
一方で1日の取引金額が1兆ドルを超える為替市場は流動性が高いので、大きいポジションでドル円を仮にショートしても日経先物等のマーケットほど価格に影響を与えることはないのです。
大口の機関投資家等は膨大な資産を動かすので、ポジションを作ることや解消することには神経を注ぎます。
日経平均先物は売買代金や取引高が公表されます。
日経平均先物等を持てば機関投資家がどういったポジションを保有していて、どのくらいのポジションを落としたのか一般に公開するようなものです。
こういった理由で機関投資家達は極力ポジションの動きが見えないように取引を行います。
しかし機関投資家のこういった動きは現在インターネットからの情報でもある程度探る事が可能となりました。
『モルガン・スタンレーがポジションを大幅に増やした…』や『クレディ・スイスが日本株のポジションを減らし始めた』等の情報がもしとれるなら、ある程度の推測が立ち今後のトレードに役立たせることもできるのです。
マトメ
私がメインで取引する通貨ペアは『ドル円』です。
冒頭に書いた『中国における新型肺炎拡大によるマーケットへの影響』に関しても『ドル円』はさほど相関関係がない状態が続いています。
前述した通り『ドル円』相場は近年、為替マーケットにおける流動性の高さからリスクヘッジ等含めた機関投資家達のポートフォリオに利用される傾向があります。
つまりファンダメンタルズ的要因で株価等と連動するような動きを期待するトレード内容では勝てなくなっている事実もあるのです。
あなたが一つ上のランクのトレードを目指すトレーダーなら、こういった機関投資家の動向情報を探るのも近年のトレードには欠かせない事かも知れません。