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『サーキットブレーカーの仕組み』株でわかりやすく解説
『サーキットブレーカー』とは
英語表記:Circuit Breaker
『サーキットブレーカー』とは、株式市場や先物取引等においてレートがある一定以上の大きな変動を生じた場合に取引を停止する機能の事を言います。
『サーキットブレーカー』は予めプログラムされているシステムなので、発動されると強制的に取引を停止する処置となります。
※FXの為替市場には『サーキットブレーカー』は設置されておりません。
『サーキットブレーカー』の名前の由来
『サーキットブレーカー』の名前の由来ですが、これは建物の屋内(外)に通す電気(電流)の漏電等を防ぐ器具の名前から来るものです。
ある一定以上の電気(電流)が生じた場合、漏電等で火災等を防ぐ為に遮断器(サーキットブレーカー)を介す事で電気(電流)を落とす(止める)為の器具からつけられました。
株で言う『サーキットブレーカー』も、電機ではないですが同じ様なシステムです。
『サーキットブレーカー』の発動される仕組み
『サーキットブレーカー』は、株式市場や先物取引市場において売りが売りを呼ぶ連鎖的な下降トレンドにより、下落にブレーキが効かない状態をシステムが察知し、強制的に全取引を停止するという機能です。
これはある基準値以上に取引値がつくなどした場合、『サーキットブレーカー』が発動されるという運びになります。
また『サーキットブレーカー』が設定された市場で発動された場合、取引の成立(約定)が一定期間行えない状態になるのも普通です。
『サーキットブレーカー』を設置する主たる理由
これは偏に投資家達を保護する目的で設置されています。
前述した通り、売りが売りを呼ぶ連鎖的な売買が市場を覆い、下落にブレーキが効かない状態を知った投資家達は冷静な判断が出来ない状態に陥ります。
こういった状態に『サーキットブレーカー』を施す事により、『一度冷静になってもらおう』というのが『サーキットブレーカー』の主な目的です。
『サーキットブレーカー』が設置されるキッカケとなった事案
皆さんもよくご存知の『ブラックマンデー』
『サーキットブレーカー』が考案された理由は、実はこの『ブラックマンデー』と深い結びつきがあります。
『ブラックマンデー』とは、アメリカ市場最大規模の暴落(1987年10月19日)の事を言います。
ニューヨーク証券取引所で1日の株価が22%も暴落した事を経験にし、加熱した(行き過ぎた)市場の暴落を防ぐ為に考案されたのが『サーキットブレーカー』でもあるのです。
『サーキットブレーカー』は、元になったニューヨーク証券取引所で先ずは導入され、日本でも1944年に東京証券取引所で運用を開始しています。
今現在では欧米における各市場に『サーキットブレーカー』が既に導入されています。
※ここ最近の『サーキットブレーカー』の発動ですが、イギリスによるEU離脱時に行われました。EU離脱を問う国民投票で離脱派が勝利を獲得。この時、日経平均株価が急落し、日経平均先物(大阪取引所)で『サーキットブレーカー』が発動されました。
『サーキットブレーカー』にはレベルが設定されている
ニューヨーク証券取引所とナスダックにおいては、S&P500のデーターを基に解析され、『レベル1』から『レベル3』までと3段階に分け『サーキットブレーカー』が設定されています。
- レベル1:S&P500が前日の『終値』から7パーセント下落すれば15分間取引停止処置を行い解除(9:30-15:25)
- レベル2:S&P500が前日の『終値』から13パーセント下落すれば15分間取引停止処置を行い解除(9:30-15:25)
- レベル3:S&P500が前日の『終値』から20パーセント下落すれば15分間取引停止処置を行い解除(時間指定なし)
ニューヨーク証券取引所とナスダックにおける『サーキットブレーカー』の特徴として、その日発動された『サーキットブレーカー』は、その次の『サーキットブレーカーレベル』に達するまで当日は発動されないシステムになっています。
また時間的な制約もあり、下記に示す時間帯は『レベル3』しか発動されない事になっています。
- 4:00~9:30
- 15:25~20:00
※余談ですが『シカゴマーカンタイルエクスチェンジ(取引所)』では、変動値で決める『ダイナミクス・サーキットブレーカー』と、値幅で決める『トラディッショナル・サーキットブレーカー』の2種類から発動されます。