【チャイナショック】そのとき為替は

『チャイナショック』とは

今の中国は高度成長期も終わり頭打ちの様相です。自国の成長鈍化を容認しながらも、構造改革を通じ持続可能な安定成長を目指す『ニューノーマル(新常態)』を現在は推進しています。

またこれとは別で、計画経済で先進国と比べ規制や介入などが多く、昨今ではマーケット(市場)に歪みが起こり、為替相場が大きく変動する事象も度々起こっています。

『チャイナショック』とは、別名『中国ショック(中国危機)』とも呼ばれています。

これは『中華人民共和国』を震源とする、世界の金融市場に大きな影響(混乱)を及ぼした出来事の総称の事を指します。

『中華人民共和国』が景気失速懸念や政策変更、シャドーバンキング問題などから人民元の急落や中国株の急落などを招いたことがキッカケとなり、それが世界各国の金融市場に伝染し、為替相場への大きな変動を招き入れた事を指します。


『中華人民共和国』が世界第2位の経済大国

『中華人民共和国』は2000年代以降、飛躍的な経済成長を遂げ、2011年には世界第2位であった日本を越え、アメリカに次ぐ世界第二位の経済大国となります。

これを機に現在では、『中華人民共和国』の経済規模が膨らみ、『中華人民共和国』で何か政治的、経済的に不安定な要因があれ世界経済へ影響を与えるという図式が確立されつつあります。

記憶に新しい2015年に起きた『チャイナショック』では、その影響は瞬く間に世界中に広がりを見せ、世界的規模に依る株安に見舞われます。

2016年では中国経済の停滞より原油安が発生し、オイルマネーが所有している株式が大量に売り払われました。

今回はこういった『チャイナショック』を時系列で解説していきます。


【2015年6月〜】チャイナショック

上海総合指数が追加景気対策への政策期待や金融緩和などを背景にし、直近1年では2倍以上にハネ上がります。その後、年明け以降も6割前後上昇し、2015年6月12日には『リーマンショック』後の最高値をつけます。その日を起点に株価は一挙に暴落し、僅か3週間前後で3割以上急落する結果となりました。

この急落の理由は、株価急騰に伴う相場過熱への警戒感や、株価高騰を警戒する中共による規制強化、及び株式市場の需給悪化懸念などが理由として挙げられます。


【2015年8月〜】チャイナショック

これは2015年8月11日に始められた中央政府による輸出部門のテコ入れと、価格設定におけるマーケットへの役割拡大に向けた取り組みを行うカタチで、『中国人民銀行』が人民元相場の20年ぶりに行った実質的な大幅切り下げに踏み切った事が発端となります。

8月13日までの期間で、3日連続対ドル為替レートの基準値引き下げを行い、夏季休暇明けの世界市場は大混乱を起こします。

この事により為替相場が大きく変動し、株式相場も急落を伴います。

その後、人民元の切り下げが一旦収まり、市場に安心感がでますが、8月18日に再び上海株が急落し始めます。

これをキッカケに8月26日まで世界の株式市場における株安が連動する事に繋がります。


【2016年1月〜】チャイナショック

2016年1月4日、12月における『製造業購買担当者指数』がマーケット予想を大きく下回ります。

その後、上海株が暴落し、これをキッカケに、世界中の株式市場が急落を始め、チャイナ発の株安が再び全世界に連鎖します。

この時の為替は、日経平均では一時600円超下落します。

この暴落の一つの理由として、1月4日に新たに導入した『サーキットブレーカー』が初日に発動された事により、売り損ねた投資家達の売り注文に拍車がかかったとも言われています。

『チャイナショック』で上海株の下落は1カ月程続き、2月にはも再度下落します。

この時の人民元は、株価急落など景気不安から、1月はオフショアで一時売られて下落となりますが、人民元の資本規制や当局のオフショア介入(非公表になっています)により、人民元の守備防衛が上手く行き届き、人民元危機には至りませんでした。


『コロナ』による中国経済への影響

現在、『新型コロナウイルス』の感染拡大が世界経済に猛威を振るっている状況です。

この状況下で中国のことし1~3月期・第1四半期のGDP=国内総生産は、マイナス6.8%に落ち込みました。

成長率は前の期から12ポイント余りも下落し、四半期ごとの統計が公表されている1992年以降、初めてマイナスに陥っています。

欧米や日本の統計手法と同じ『前期比』では、マイナス9.8%になり、仮にこれが1年続いた場合に換算した『年率』では、マイナス30%を超える水準となります。

中国政府はこの理由を『国内での感染拡大の勢いは基本的に抑え込んだ』として、『復工復産(=工業、産業の復興)』を掲げ、景気のV字回復を目指していますが、世界的に感染の拡大が収まらない中、軌道修正を迫られかねない事態も起きています。

中国はこれまで、数々の危機に直面してもプラス成長を維持してきた過去があります。

2003年に『SARS』が広がった際、成長率が最も落ち込んだ第2四半期でもプラス9.1%。また、2008年の『リーマンショック』のあとは、2009年第1四半期にプラス6.4%まで落ち込んだあと、2010年にかけてV字回復を果たしています。

四半期のデータがない1991年以前でも、通年の成長率がマイナスになったのは1976年まで逆のぼります。

この年は中国の社会・経済に大混乱をもたらした文化大革命の最後の年でもあります。

こういった背景もあり、今回のマイナス成長が如何に異例のことだというのがおわかりいただけるでしょう。


『中国経済』における今後の見通し

中国の3月での会見で、国家統計局の毛盛勇報道官は『新型コロナウイルス』が大きな影響を及ぼし、第1四半期の指標は、はっきりと落ち込んだ』と、打撃の大きさを認めました。

中国の報道官が記者会見で、落ち込みを素直に認めるのは非常に珍しいことですが、それだけ、今回のコロナによる影響で中国経済の負った傷が大きかったことの表れと言えるかもしれません。

ただ、それ以降は強気の発言が続きます。

その根拠となったのが、同時に発表された3月の工業生産のデータです。

1~2月は前年同期比マイナス13.5%まで落ち込んだ工業生産は、3月はマイナス1.1%まで急回復しました。

続けて報道官は、これを引き合いに政府が目指す『復工復産』は順調に進んでいると発言し、政府の力強い対策で第2四半期以降はさらによくなると述べ、V字回復も可能だという見解を示します。

しかし、中国各地の現場に足を運ぶと、報道官の強気の発言とは異なる様相も見え隠れしているのが現実です。


『コロナ』による影響は計りきれないほど深刻

『コロナ』による影響は雇用に深く及んでいます。

一部報道によると広州郊外で服飾工場が密集する地区では、大勢の労働者が仕事を得ようと、工場の担当者を取り囲んでいたようです。

仕事にありつけず、道端に座り込む人の姿もカメラに映し出されていました。

こういったことを背景に日本の専門家は中国経済のV字回復はたいへん厳しいという見通しを示しています。

中国経済の実態は、すでに閉鎖した店舗や工場では投資の先送りや人員のリストラが行われている模様で、企業所得の下振れだけでなく、失業者の増加で家計も消費を抑えようという動きがあり、内需回復の弱さを指摘しています。

外需においても『世界的に感染拡大が見られる中で、中国の輸出がリーマンショック以上に下振れするリスクも出ている』という厳しい見通しを専門家が示しています。

このまま内需、外需とも弱さが続けば、中国政府がもくろむ『復工復産』は軌道修正を迫られることになりかねません。

中国は今や世界第2の経済大国です。

世界経済のGDPに占める割合も16%とリーマンショックの頃と比べて、10ポイント程度も上昇している現実があります。

中国の回復が思うように描けなければ、日本をはじめ、為替を含めた世界経済の回復の遅れにもつながります。

日本経済へも大きな影響を及ぼす中国、今後も中国経済を注視し続ける必要があるでしょう。

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