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【雇用統計とは】わかりやすく解説
『雇用統計』は各国から公表されていますが、その中でも重要視されるのがアメリカの『雇用統計』です。
今回はこのアメリカの『雇用統計』について分かりやすく解説します。

『雇用統計』とは
アメリカの『雇用統計』ですが、これはアメリカ国内の雇用情勢を詳しく知る指標(統計)の事で、内容によっては世界経済に影響を及ぼす重要な経済指標の事を言います。
基本は毎月第1金曜日にアメリカ労働省から公表されるのですが、内容はリアルタイムではなく公表の前月の指標内容となるので注意が必要です。
『雇用統計』はアメリカ経済の最新情報を得る事ができ、その結果によって外国為替や株式、金利などを含め全てのマーケットに影響を与えると言われています。
この『雇用統計』の中でも最も注目されるのは『非農業部門雇用者数』と『失業率』です。
また経済の安定化を図る為、FRB(米連邦準備制度理事会)は金融政策を実施しますが、この『雇用統計』で発表される『失業率』と『物価』を最重要な項目と位置付けています。
『雇用統計』は自国の将来的な景気予想に加え、『FRB』が行う金融政策の意思決定をする上でも最も重要な指標となる訳です。
※少し余談ですが、皆さんが経済指標サイトで情報を閲覧する時、『雇用統計』なのに『雇用統計』と記されていないサイトが多くあります。
これは『雇用統計』という言葉そのものが、10項目以上にも及ぶ指標をマトメた総称(呼称)だからです。
アメリカ経済は全世界におけるGDPの約20パーセントを占める
『雇用統計』が注目される理由をもう少し深堀していきます。
前項でも少し書き留めましたが、注目される一番の理由として『雇用統計』後の金融政策が挙げられます。
アメリカの金融政策の内容次第では、基軸通貨でもある米ドルが大量に買われたり売られたりします。
今の世界経済はアメリカの経済情勢によって世界中の国々が影響を受けるという構造です。
また、アメリカ経済は全世界におけるGDPの約20パーセントを占めると言われています。
つまり、世界経済はアメリカで成り立っていると言っても過言ではないのです。
FXは勿論の事、為替世界ではアメリカドルを中心とした取引がメインです。
金融関係者が良く口にする、『ドルストレートとそれ以外の通貨』という言葉があるのですが、如何に金融世界で米ドルが中心になっているかが伺える言葉でもあります。
マーケットの中心はアメリカドルだということです。
アメリカのGDPは個人消費が約70%
知人でアメリカ人がいるのですが、この方は買い物が本当に大好きです。
歳は50代で貯蓄はゼロ(※501Kで個人運用はしていますが微々たるものでしょう)、給料が出る度に買い物に出掛けます。
彼に聞いた事があります。
『貯蓄ゼロって凄いよね、老後の事は考えてるの?』
知人曰く『老後なんか考えないよ、明日死ぬかも知れないのに何でお金を貯める必要があるんだ?老後は食べて行けるだけの年金があればそれで十分だ。』
国民性の違いなのか、日本人は溜め込むのが好きですが欧米人は今を大切に生きています。
良い意味、悪い意味も含めてですが。
ご存知ない方も多いのですが、アメリカのGDPの約70%が個人消費です。
GDPの大半が個人消費なのです。
言い変えるとアメリカの個人消費は、世界のGDPの約20パーセントを占めているという事になります。
アメリカの個人消費が如何に世界の景気を左右するかというお話です。

FRB(連邦準備制度理事会)とは
『FRB(連邦準備制度理事会)』とは、アメリカの金融政策を担う機関のことです。
この『FRB』は連邦議会の下に属する政府機関なのですが、 予算の割当はもちろんの事、人事に関することまで他から全く干渉を受けることなく運営される独立性の高い政府機関です。
あのトランプ大統領をもっても動かせなかったという機関ですね。
トランプ大統領からすると言う事を聞かない部下がFRBの現パウエル議長にあたります。
このパウエル議長率いる『FRB』が、米国の金融政策の決定権を持つ唯一の機関なのです。
前述しましたが、『FRB』は金融政策を判断するメイン材料として雇用統計を重視しているという事も覚えておきましょう。

『FRB』における金融政策での判断材料
雇用統計の数値が『良かった』場合
➡ 景気が良いと判断し、『利上げ』を行う
雇用統計の数値が『悪かった場合』
➡ 景気が悪いと判断し、『利下げ』を行う
トレーダーならこの2点は覚えておきましよう。
『利上げ』を行った場合のマーケットの反応
➡ 利上げが行なわれると、金利が高くなります。
金利が高くなるとアメリカドルの価値が上がり、資金が集まります。
つまりアメリカドルが買われ、ドル高要因になります。
『利下げ』を行った場合のマーケットの反応
➡ 利上げ時とは逆で、アメリカドル以外の通貨で金利の高い通貨へと資金が流動し始めます。
つまりはアメリカドルが売られやすくなり、ドル安方向に向かうという事です。

『失業率』とは
雇用統計の『失業率』とは、働く気がある人のうち、失業している人の比率を示した数値のことを言います。
米雇用統計における『失業率』は、失業者の定義に合わせ下記に示すU-1からU-6までの6項目に分けられ発表されます。
『雇用統計細分化表』
- U-1:15週以上の失業状態が続いている人の割合
- U-2:解雇と一時的な仕事を終えたの人の割合
- U-3:一般的な失業者の割合
- U-4:U-3+職探しを完全に諦めた人の割合
- U-5:U-4+現在は働けないが働く意志がある人の割合
- U-6:U-5+本来はフルタイムとして働きたいがパートタイムとしての労働を余儀なくされている人の割合
『失業率』の調査内容は上記内容にて細分化され、6項目に分けられています。
私たちが普段見聞きにする『失業率』は 、『U-3』にあるデータ値を用いる事が多いのです。
ニュース等で報道される『失業率』は、殆どが『U-3』の値 です。
『雇用統計細分化表』を良く見て頂くと分かるのですが、『U-1』から順番に失業者の定義が広くなり、失業率が徐々に広くなります。
中でも『U-6』は、現在働いているけど希望の職に就いてないという人、また働いているけど希望のフルタイムで働けていないという人も失業者でカウントするなど、『失業率』をより一層広義にしてるという特徴が伺えます。
『雇用統計』の中でも『失業率』は、『非農業部門就業者数』と並びアメリカの2大指標の一つで、世界中の大口投資家達が最も注目する経済指標の一つです。

非農業部門就業者数
雇用統計での『非農業部門就業者数』とは、アメリカの労働省が毎月公表する『雇用統計』における重要な指標です。
前述した『失業率』と同様に、世界中から注目されるアメリカの2大指標の一つとされます。
『非農業部門就業者数』は全米の事業所調査により、非農業部門(農業以外の就業者)に属する事業者の給与支払い明細(帳簿)を元に集計された就業者数を表します。
分かりやすく言うと、農業以外の産業で働く人の増減(※経営者及び自営業者の数はカウントされません)を表したものです。
雇用統計は業種別でも発表されます。
この業種別の中でも、特に製造業者の就業者数が重要視されていることも覚えておきましょう。
『非農業部門就業者数』は、アメリカの雇用情勢を知る上で『失業率』と同様に重要視される指標です。
『非農業部門就業者数』公表時には、『失業率』同様に事前予想と公表結果の乖離(数値の開き)が大きくなることも稀にあり、『雇用統計』発表時にマーケットが大きく動くので注意が必要です。

『雇用統計』は2種
アメリカの『雇用統計』を知るうえでは欠かす事のできない『ADP雇用統計』ですが、前述した『米国雇用統計』との関係柄を理解されていない方が多くいらっしゃる思います。
為替相場を大きく動かす要因の一つがアメリカの『雇用統計』ですが、『ADP雇用統計』は『米国雇用統計』の先行指数です。
では『ADP雇用統計』をもう少し深く掘り下げてみましょう。
『ADP雇用統計』とは
『ADP』とはオートマティック・データ・プロセッシング社(Automatic Data Processing)の略語表記です。
『ADP雇用統計』とは、アメリカにある民間会社の『オートマティック・データ・プロセッシング社(Automatic Data Processing)』がマトメあげた、全米における『雇用指標』の事を指します。
元々この『ADP社』は、全米における企業の『給与計算』を算出していた会社です。
2001年から本格的にアメリカにおける『雇用統計』に関する資料調査を始め、今では全米50万社以上の雇用情勢の資料を有する企業でもあります。
また『ADP雇用統計』は、『ADP社』の傘下でもあるグループ企業、『ADPリサーチ・インスティテュート社』が実際の雇用指標における動向を調査し、その結果を『ADP雇用統計』に総括する情報です。
『ADP雇用統計』の情報を、日本国内で得るにあたり注意したいのが、国内メディアによる表記の不一致です。
情報発信元に依り、『ADP全米雇用報告』、『ADP全国雇用者数』、『ADP民間雇用者数』、『ADP雇用者数』等の表記が混在しますが、これらは全て米国の『ADP雇用統計』からなるものです。
『ADP雇用統計』の内容
『ADP雇用統計』の発表は、『米国雇用統計(米国労働省所轄)』の2営業日前に発表されます。
また、『ADP雇用統計』は、『米国雇用統計』の先行指数と位置付けされており、非常に注目される指標の一つです。
『米国雇用統計』は通常『毎月第1金曜日』に発表されるので、『ADP雇用統計』の発表は、毎月『米国雇用統計(非農業部門雇用者数)』の2営業日前の水曜日発表です。
ここで注意しておきたいのが『ADP雇用統計』は、『米国雇用統計』の中の『非農業部門雇用者数』の先行指数として主に扱われる事が多いので覚えておきましょう。
『ADP雇用統計』の発表時期
『米国雇用統計(非農業部門雇用者数)』発表の2営業日前の水曜日
『ADP雇用統計』の発表時間
✅夏時間:午後9時15分
✅冬時間:午後10時15分
『ADP雇用統計』の見方
『ADP雇用統計』の見方ですが、『ADP雇用統計』における『雇用者数』がマーケット予測を上回った場合は『雇用状況』が良いと判断します。
この結果マーケットは好感ムードとなります。
またこれとは逆に『雇用者数』がマーケット予測を下回った場合は『雇用状況』が悪いと判断し、マーケット自体に懸念が生じます。
こういった流れをアタマに置き、数値の見方としてはマーケット予測値(増減)に対して上回るのか、ほぼ予測値通りか、または予測値を下回るのか、といった観点でチェックをします。
注意したいのが『ADP雇用統計』が好結果となる一方で、『非農業部門雇用者数』が悪い結果となるケースも多々あるので注意が必要です。
両者の指標結果が必ずしも一緒にならない事を念頭に置くのが無難でしょう。
『米国雇用統計』と『ADP雇用統計』での『雇用者数』の増減が、指標発表時に毎回一致するとは限らないのでトレードされる方は要注意です。
※『ADP雇用統計』や『雇用統計』での予測値の情報を得るにはココをチェック!

雇用統計を使った『指標トレード』
アメリカの雇用統計を使い、いわゆる『指標トレード』を行なう方達は沢山います。
世界的にも重要な経済指標という背景もあり、他の経済指標とは比べ物にならないくらいマーケットが大きく動く可能性があるからです。
雇用統計での『指標トレード』は只のギャンブルトレード
私は雇用統計を含む重要な指標前には、全てのポジションを手仕舞いします。
トレードルールに組み込んでいます。
私はFXで勝てない時期が約3年ほどあったのですが、調度この時期が雇用統計での『指標トレード』を行っていた時期と重なります。
コツコツと普段積み上げてきた利益を一瞬で吹き飛ばすトレードを行っていました。(※通常の雇用統計で20-50pips前後の動きは普通で、これ以上に大きく動く時も多々あります。)
『雇用統計』は事前情報(指標数値)がマーケットに流れる事もあり、もちろん勝てる時もあったのですが約3年間での収支は大きくマイナスです。
自身の経験を通じ、こういった事前情報は全く取引根拠にならない事をココに書き留めて置きます。
また、界隈で著名な方の雇用統計での『指標トレード』を何度も見て来ましたが正にギャンブルトレードそのものです。
こういった方達が普段行うのトレードを見ていても、運任せに頼るギャンブルトレードで取引を行うという共通点があります。
根拠のないトレードを行っている以上、FXで継続して勝てるトレーダーになれないという事を肝に銘じておきましょう。
雇用統計を使った『指標トレード』を推奨しない大きな理由
- 雇用統計で一攫千金を狙っているなら退場するのも時間の問題でしょう。私の知り合いで、この一攫千金狙いで偶然に勝った方達が数人いらっしゃいました。勝った時のイメージが脳裏に深く刻まれている為、資金が乏しくなると雇用統計で一攫千金を再度狙います。この繰り返しを行い最後には悲しい結末しかないのです。
- 雇用統計前の事前情報等は信用しない方が賢明です。(著名なアナリストでさえ予測は無理)どれだけ信憑性のある情報でも当てになりません。私は身をもって知りました(当時ヘッジファンドからの特殊ルートで情報が入り、調子の良い時期もありましたが最後には全て持って行かれたという過去があります。)
- 巷で聞く雇用統計での手法などは全く根拠のないテクニカルです。
雇用統計後のトレードを推奨
ここで少し有益な情報を公開します。
私はたまに雇用統計を使ったトレードを別のカタチで行っております。
それは雇用統計後のトレードです。
雇用統計発表後は、マーケットの方向性がシッカリと出る可能性が高いのをご存知でしょうか。
よく雇用統計後はマーケットが週末と重なり、ポジションの整理等でボラティリティが無くなるからトレードがしずらいという事を耳にしますが、そんな事はありません。
確かに雇用統計後のニューヨーク市場の後半はそうなのですが、前半はまだまだ動く時間帯でもあるのです。
私はこの雇用統計後の動きに着目し、短時間で大きな利益を何度も獲得しています。
皆さんも雇用統計でのギャンブルトレードは控え、雇用統計後のトレードを行ってみては如何でしょうか。
FXは一般大衆が着目する局面以外に意外と稼げる局面もあったりします。

『雇用統計』で相場が動く2つの要因
相場が動く2つの要因ですが、これは『予想数値』と『結果数値』の関係です。
『予想数値』はいわゆる証券会社やシンクタンク等々が予測した数値の事を言います。
在籍されるアナリスト達が挙って『予測数値』を算出します。
この『予想数値』は既に市場へ織り込み済みなので、あとは『結果数値』の発表待ちです。
基本、『予想数値』と『結果数値』は完全一致することは無いですが、普通は若干の開きがあるぐらいです。
この開き加減で相場は反応します。
では『雇用統計』発表時に大きくレートが動く場合はどうでしょうか。
それは、この『予想数値』と『結果数値』が大きく乖離した時です。
この乖離率が大きければ大きいほどレートも大きく動きます。
これが『雇用統計』の発表時にレートが大きく動く仕組みです。
但し単純に『予想数値』と比べ、『結果数値』が良ければドルが買われ、『結果数値』が悪いとドルが売られるという事ではないのでご注意を。