【赤字国債】わかりやすく解説

『赤字国債』とは

日本の法律では、『国の歳出は公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。』と明記されています。わかりやすく言うと、これは『赤字国債』の発行を実質的には原則禁止している内容です。しかし条文の但し書きには、『公共事業費、出資金及び貸付金の財源については国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行し又は借入金をなすことができる』とも明記されており、特別に『赤字国債』、『建設国債』の発行は認められているという事になります。

『赤字国債』とは、わかりやすく言うと『普通国債』の一つです。国の財政の赤字を補填するために発行される『特例国債』のことを指し、『赤字国債』と呼ばれています。

具体的に言うと、国家が一般会計の赤字補填のために発行を行う『国債』の事を意味します。

日本では財政法上、『赤字国債』の発行は認められていないため、『特例法』を制定して発行されます。

『赤字国債』の返済額は

既に赤字国債残高は約588兆円(2017年度末 出所:財務省)に膨らみ、財政硬直化を招きかねないため、現在は赤字国債依存からの脱却が急務となっています。


『国債』とは

『国債』とは、わかりやすく言うと国の発行する債券のことを指します。

『国債』の発行は、法律で定められた発行根拠に基づいて行われており、大別すると『普通国債』と『財政投融資特別会計国債(財投債)』の2種に区分されます。

なお、『普通国債』と『財投債』は一体して発行されており、『金融商品』としては全く同じものとなります。


『普通国債』とは

『普通国債』とは、わかりやすく言うと利払い・償還財源が主に税財源により賄われるものを指します。

『普通国債』には『建設国債』、『特例国債』、『年金特例国債』、『復興債』及び『借換債』があります。
 
『建設国債』、『特例国債』及び『年金特例国債』は一般会計において発行され、その発行収入金は一般会計の歳入の一部となります。
 
他方、『復興債』は東日本大震災特別会計において、『借換債』は国債整理基金特別会計において発行され、その発行収入金はそれぞれの特別会計の歳入の一部となります。

『普通国債』の種類

  • 建設国債

財政法第4条第1項ただし書に基づき、公共事業、出資金及び貸付金の財源を調達するために発行されます。

  • 特例国債(赤字国債)

建設国債を発行してもなお歳入が不足すると見込まれる場合に、公共事業費等以外の歳出に充てる財源を調達することを目的として、特別の法律に基づいて発行されます。

  • 年金特例国債

財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律に基づいて、基礎年金の国庫負担の追加に伴い見込まれる費用の財源となる税収が入るまでのつなぎとして、平成24年度及び平成25年度に発行されています。

  • 復興債

東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法に基づいて、復興のための施策に必要な財源となる税収等が入るまでのつなぎとして、平成23年度から平成27年度まで発行されています。

  • 借換債

特別会計に関する法律に基づき、普通国債の償還額の一部を借り換える資金を調達するために発行されます。


『財政投融資特別会計国債(財投債)』とは

『財投債』とは、『財政融資資金』において運用の財源に充てるために発行される『国債』のことを言います。
 
その発行収入金は『財政投融資特別会計』の歳入の一部となります。
 
ただし、『財投債』は、その償還や利払いが財政融資資金の貸付回収金により行われているという点で、主として将来の租税を償還財源とする普通国債とは異なります。

『赤字国債』の発行

現在、日本における『赤字国債』の発行は、財政法上で認められていません。

この為、『赤字国債』の発行の関しては特別な立法(特例法)が必要とされます。


過去における『赤字国債』の発行

過去における『赤字国債』の発行は、1965年度の補正予算で『赤字国債』が戦後初めて発行されています。

またその後の1975年にも『赤字国債』の発行を認めた、1年限りの『公債特例法』が施行され発行されます。

その後も『特例法』が制定されたことに依り、順次『赤字国債』は発行され、現在に至ります。


『建設国債』とは

『赤字国債』に対し、公共事業などの投資的経費のために発行される国債を『建設国債』と言います。

『建設国債』を発行する根拠については、財政法第4条で、『国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない』と規定され、国債発行を原則として禁止しています。

しかしその但し書きでは『公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる』とも規定され、例外的に『建設国債』の発行を認めています。


『新型コロナウイルス』の影響による『赤字国債』発行の行方

4月20日 ロイター/ 菅義偉官房長官は20日午後の会見で、2020年度補正予算案の財源のほぼ全てが『赤字国債』の発行で賄われるのは財政再建に反するのではないかとの質問に対し、経済あっての財政再建であり、経済の回復を最優先に判断した結果であるとの見解を示しました。

菅官房長官は、『新型コロナウイルス』の感染拡大で『影響が甚大であり、内外経済は近年で最大の危機に直面している』と指摘します。

あらゆる政策手段を動員し、『リーマン・ショック』後を上回る過去最大の事業規模の経済対策と補正予算の編成を行ったと説明。

その上で『経済あっての財政再建であり、感染拡大を防いでこの難局を乗り切り、何としても経済を回復させる』と語っています。

『新型コロナウイルス』への対応として政府が検討している追加経済対策は事業規模で30兆円超、真水となる財政支出で15兆円以上が想定されています。

予定されている2020年度予算の成立後、本格的な議論が始まる見通しです。

財源としては『赤字国債』を発行する方向との認識がコンセンサスとなりつつあるとの事です。

『新型コロナウイルス』に関する経済問題で現在政府内で検討されている対策は2段構えです。

感染拡大がどの程度の期間で終息するのか現時点では不透明なため、まず4月ごろに打ち出すのは、学校休校・イベント自粛など感染拡大防止措置に伴う支援対策が中心となってきます。

その後、経済活動の再開を念頭に置いた、消費喚起などを想定しているのが現状ですが、その後も、必要と判断されれば、追加の経済対策を講じていく構えを見せています。

経済対策の規模感について、自民党の岸田文雄政調会長は、56.8兆円の事業規模の対策を打った『リーマンショック時を上回る規模が必要』と述べています。

政府は昨年12月に26兆円規模の経済対策を講じていますが、政策担当官庁では『その際にはコロナウイルス関連の対策は含んでいなかった』との認識のズレも生じています。

『新型コロナウイルス』への緊急対応策としては、すでに第1弾で153億円、第2弾で4308億円の財政措置と1.6兆円規模の金融措置を講じています。

しかし与党からも『今の段階では事業規模最低限30兆円、財政支出15兆円は必要だ』という声も多数聞かれ、感染拡大の終息が見えない中、不足すれば『追加で3度、4度でも講ずる』と強気の構えを見せています。


『東京オリンピック』と『赤字国債』の関連性

『東京オリンピック』予定通りの開催が危ぶまれる事態となっていることから、政府内でも『五輪延期や中止の際の影響も念頭においた経済対策を水面下では検討する』との声も挙がっています。

第一生命経済研究所の熊野英生・主席エコノミストの試算では、コロナウイルス感染自体による経済下押し圧力が3.8兆円、五輪が中止になった場合のインパクトが2.1兆円。合わせると、およそ6兆円程度の下押し圧力となると言います。

具体的な経済対策の内容として、法人税の納税延期、現金給付、観光・旅行事業者支援などが現在議論されています。

現金給付については、当初学校休校で支出が増えたこどものいる家庭向けに検討していましたが、政治サイドからは、スピード感をもって対応するには世帯を限定せずに実施すべきとの意見もあります。

あと、与野党から要望が出ている消費税率の引き下げについては、教育無償化の財源を伴っており、社会保障財源確保の点でも難しい対応を迫られている現状もあります。

消費税、引き下げ前に消費が落ちることも大きく予想され、即効性の点で懐疑的な声もあることから、現時点での消費税引き下げは消極的な声が多いのも事実です。

対策の財源に関しては麻生太郎財務相も20年度の補正予算を講ずる可能性に言及していますが、大規模な財政支出への対応は『赤字国債しかない(経済官庁幹部)』との認識が政府内で多くあります。

『新型コロナウイルス』の影響で税収増は期待できず、しかも減税方向となる対策が示されており、財務省内にも『赤字国債発行』は必至との見方が強くなってきました。

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