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【タックスヘイブンとは】わかりやすく解説
『タックスヘイブン』は、その特性や仕組み、また利便性の面から世界中における多くの企業や個人が利用しています。
『タックスヘイブン』のような税制慣行を容認することにより、世界経済において税負担の不公正を生じさせる弊害も指摘されています。
今回はこの『タックスヘイブン』について解説します。
タックスヘイブンとは
『タックスヘイブン』を直訳すると、税金(Tax)を回避(Haven)するという意味です。
『タックスヘイブン』は、『租税回避地(租税避難地)』とも呼ばれています。
『タックスヘイブン』の国々では、企業や個人の所得や財産などに対し税率が極端に低く設定されていたり、中には皆無に等しい税率を行っている国などもあります。
わかりやすく説明すると、これは世界経済への自由化の波が大きくなったことで生じ、元々基幹産業もなく、外貨を獲得する事が困難な貧しい国や地域が税金を極端に低くする設定(税制上の優遇措置)を提供することで外国企業、または富裕層の資産を集めるという仕組みで構築されています。
※『タックスヘイブン』のヘイブンをHeaven(ヘブン/天国)と間違って捉えている方が多いのですが、それは間違いで『税金を抑える避難所』という意味です。
『タックスヘイブン』を利用するメリット
『タックスヘイブン』を利用する個人や企業のメリットは、現地にペーパーカンパニー(実体のない組織)などを設立し、所得や資産を本国から移すことで納税額(法人税・所得税他)を大きく減らすことが可能となり、メリットはたいへん大きなものになります。
今日では、多国籍企業・金融機関・ヘッジファンドは『タックスヘイブン』に多くの特殊目的会社(SPC)やファンドを設立している実態が多く確認されています。
『タックスヘイブン』におけるマネーロンダリング
『タックスヘイブン』に資金を集める個人や企業は、本国における当局の監視の目が届きにくく、企業における不正会計や富裕層の脱税、また犯罪資金やテロ資金のマネーロンダリング(資金洗浄)の温床にもなっている現実があります。
このような『タックスヘイブン』の仕組みに対し、危機感を覚えた経済開発協力機構(OECD)が行ったのは、『タックスヘイブン』のリスト公表(2009年より開始)です。
このリスト公表により、資金を移動する個人や企業に改善や改革を促しています。
一見、このリスト公表は意味を成すのか賛否もありますが、例えば世界的な経済活動を行い莫大な利益を上げている企業があったとします。
この企業が『タックスヘイブン』を利用し、税金をほとんど納めていない事実がもし発覚したら消費者はどう捉えるでしょうか。
勿論納得はできないでしょう。
それどころかコンプライアンスを含め、その企業のブランドイメージも大きく壊れる事は必至です。
企業が『タックスヘイブン』を利用するなら、こういった大きなリスクをとることに繋がり、今ではリスト公表が強い抑止力にもなっています。
またアメリカでは、外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)という国内法があり、外国に口座を持つアメリカ人の情報を外国金融機関に提供させています。
『タックスヘイブン』を行う理由
『タックスヘイブン』を行う国や地域は世界中に存在します。
中でも有名な『タックスヘイブン』を行う地域として、バハマ、バージン諸島、クック諸島などが挙げられます。
これらは全て島国となり、特殊な環境もあって強い産業も育ちにくく、財政難に陥った国や地域が多いという特徴があります。
こういった国や地域では『タックスヘイブン』を好んで取り入れ、企業誘致することで世界中から莫大な資金を集める事に繋がりました。
『タックスヘイブン』を行う国や地域へは、あらゆる企業の導入が相次ぎ、富裕層たちも税金対策のために資産を移すようになりました。(※現在はマネーロンダリングによる世界的な締め付けが厳しくなり、富裕層からの資金の流れも少なくなっています。)
『タックスヘイブン』を行う中南米・カリブ海地域の国々
- ケイマン諸島
- バージン諸島
- バミューダ諸島
- セントクリストファー
- ネイビス
- キュラソー
- バハマ
- パナマ
- コスタリカ
- ドミニカ
- グレナダ
- ウルグアイ
『タックスヘイブン』を行うアジア・太平洋・インド洋・中近東地域の国々
- シンガポール
- 香港
- ブルネイ
- フィリピン
- マレーシア領ラブアン島
- マーシャル諸島
- クック諸島
- ナウル
- サモア
- モルディブ
- セーシェル
- バーレーン
『タックスヘイブン』を行う欧州の国々
- スイス
- オーストリア
- ベルギー
- ルクセンブルク
- リヒテンシュタイン
- モナコ
- サンマリノ
- アンドラ