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ケンジョー

ドル円専門トレーダー

当ブログ、FXトレード学園を運営するトレーダーのケンジョーです。約10年、ドル円と向き合い続けている現役の相場師です。当ブログと私のnoteでは、私が培ってきた相場に関する貴重な情報を書き留めています。良ければ一度のぞいて下さい。皆さんのトレードの一助になればたいへん嬉しいです。

相場歴36年
トレーダー歴約10年
運用規模約5億
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2026米中間選挙、直前リポート

どうも、ケンジョーです。
いよいよ米中間選挙まで残り3日となりました。
今週はFOMCと日銀が並ぶ金融政策ウィークでしたが、来週は政治が主役の週です。
それでは11月3日の米中間選挙のリポートいってみましょう。

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▶ 今週の焦点
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・11月3日(火)は米中間選挙。下院435議席のすべてと、上院100議席のうち35議席が改選されます。
・期日前投票は既に4850万人を超え、登録有権者の20%超に達しました。2022年の記録を、投票日の4日前に塗り替えている様相です。
・相場の焦点は下院ではなく上院。ここが民主党に転ぶかどうかで、11月以降の材料の質が変わります。

目次
  1. ■ 先ず数字を並べておきます
  2. ■ 期日前投票の4850万人は米国民の意識の高さ
  3. ■ 下院はもう材料ではなく焦点は上院
  4. ■ 市場は何を織り込んでいるのか
  5. ■ 3つのシナリオと、それぞれの風向き
  6. ■ 見落とされやすい2つの論点
  7. ■ 日銀とFRBの「言葉」を振り返る
  8. ■ ここから先の大きな方向性は?
  9. ■ 転換点を読む

■ 先ず数字を並べておきます

期日前投票は4850万人超。登録有権者の20%を超え、2022年の記録を投票日の4日前に更新しました。
この期日前投票における民主党のリードは12ポイントで、バイデン氏が勝った2020年大統領選の水準に迫っています。

世論調査も同じ方向
ロイター/イプソスの10月26日調査では、トランプ大統領の支持率は32%。1週間前に記録した過去最低の31%から、1ポイント戻した程度です。
「今日議会選挙が行われたらどちらに投票するか?」という一般投票意向では、民主党47%、共和党36%で11ポイント差。
まだ決めていない有権者に傾きを聞いて配分すると、50対41で9ポイント差まで縮まりますが、それでも民主党の優位は変わりません。

投票への意欲も民主党支持者の方が高い
「中間選挙への投票に非常に意欲的」と答えたのは、民主党支持者46%に対して共和党支持者30%でした。
ピュー研究所の9月末調査でも、民主党支持者は「かなり考えている」が14ポイント、「極めて投票意欲が高い」が17ポイント、それぞれ共和党支持者を上回った結果です。

何が有権者を動かしているのか?
争点は生活費です。
9月の消費者物価指数は前年同月比3.7%上昇、ガソリンは34.2%上昇、エネルギーは20.4%上昇。
ロイター/イプソスの調査では、73%が生活費について「状況が悪化している」と回答しています。
2月に始まった対イラン軍事作戦への不支持も65%に達しており、外交問題が家計を通じて政権への不満に直結している構図です。

議席の現状を確認
下院は共和党218、民主党214、無所属1、欠員2。218が多数派ですから、数議席の移動で入れ替わります。
上院は共和党53に対し、民主党45と民主党系会派の無所属2。民主党は純増4で51となり、多数派を奪還します。

予測市場と予測サイトの数字はこうです。
ディシジョン・デスクHQは10月30日時点で、民主党の下院過半数を82%(239議席)、上院過半数を62%(52議席)と見ています。
予測市場では下院が94%前後、上院が70%台前半。上院の確率はこの1週間でじわりと上がってきました。

但し共和党が資金力で劣っているわけではありません。
9月初めから投票日までの全米広告予算は、共和党が16.3億ドル、民主党が11.9億ドルと、共和党が大きく上回っています。
お金はある、けれども追い風ではない。それが今回の共和党の立ち位置でしょう。

■ 期日前投票の4850万人は米国民の意識の高さ

ここは丁寧に読んでおきたいところです。

期日前投票の党派別内訳は結果の予測ではありません。
民主党支持層はもともと早期投票に積極的な傾向があり、構造的な偏りがあります。
ですから「12ポイントのリード=民主党の圧勝」と直結させるのは早計です。

でも今回は少し事情が違うかもしれません。
トランプ大統領自身が支持者に期日前投票を促していると報じられています。
共和党側が早期投票に力を入れているのなら、この12ポイントは前回よりも「本物の支持率差」に近づく可能性があるわけです。

しかし逆のリスクもあります。
世論調査に非協力的なトランプ支持層の投票率が上がれば、直前の調査と結果は乖離しうる可能性もあります。
これは第一生命経済研究所も明確に警告している点です。
数字は数字として受け取り、結論は投票箱が閉まるまで持ち越す…それが米中間選挙の今の健全な読み方だと思います。

■ 下院はもう材料ではなく焦点は上院

ここが今回いちばん大事なところです。

下院は、ほぼ織り込まれています。
民主党が取る確率9割前後という数字は、もはやサプライズではないでしょう。
相場が動くとしたら、そこではありません。

焦点は上院です。
上院は改選35議席の構成上、共和党に地理的な優位があります。
地盤の州が多いから、全米の風が民主党に吹いても、議席に変換されにくいわけです。

ところが今、その前提が崩れつつあります。
ミシガン、テキサス、カンザス、メイン…共和党が安泰と考えていた州まで足元が揺らぎ始めています。
クック・ポリティカル・レポートは直近で、下院の12選挙区を新たに民主党側へ移しています。
上院の確率が62%まで上がってきたのは、こうした選挙区評価の変更が積み上がった結果でしょう。

但し上院を取ったところで政権が動けなくなるわけではありません。
大統領の拒否権がありますから、民主党が主導する法案は成立しにくい状況となるでしょう。
関税もイラン戦争も、法律で止めるのは簡単ではないわけでは無さそうです。

それでも意味は大きい
民主党が下院を制すれば、公聴会と調査を通じて政権への監視が強まります。
関税権限を議会に取り戻す議論を主導できます。
イラン戦費の補正予算、約876億ドルの審議も握れるはずです。
FRBの理事人事は上院の承認事項ですから、ここも止められるでしょう。

つまり法律で止めるのではなく、政治的コストを上げることが可能です。
新政権の政策にブレーキが加わる…そういうことになりそうです。

■ 市場は何を織り込んでいるのか

理屈はこうです。
民主党が議会を制する→財政拡張の期待が後退する→米長期金利が下がる→ドル安。
市場のコンセンサスは、ほぼこの一本で語れます。

但し、私はこの理屈が通用するとは思っていません。
金利が下がってもドルが売られない経路もあるからです。

財政リスクに対する上乗せ金利、つまりリスクプレミアムが縮小すれば、米国債とドルへの信認はむしろ高まります。
さらに民主党が上院を取れば、FRBの要職に緩和重視派を送り込むことが難しくなるでしょう。
FRBの信認が上がれば、これもドル高要因です。
野村総合研究所が指摘する「良いドル高」の筋書きです。

そして、より本質的な話をすれば、ドル円の支配要因は中間選挙ではありません。
10月21日時点で、米2年債は4.79%、10年債は5.13%。日本は2年債1.886%、10年債2.882%。
期待インフレ率で実質化すると、すべての年限で米国の実質金利が2%ポイント以上、日本を上回っています。
日本の実質政策金利は依然マイナス1%近辺です。
この構図は米中間選挙では変わりません。

足元の値動きも材料待ちの様相です。
ドル円は10月30日のNY市場で157円60〜70銭。前日比5銭の円高で、3日続伸。
10月のレンジは156円99銭から158円94銭まで、値幅は2円弱にとどまっています。

そしてもう一つ、需給の話をしておきます。
円の先物ポジションは、10月13日時点で5万0207枚の買い越し。9月15日のピーク12万枚から半分以下に縮んでいます。
レバレッジド・ファンドに限れば、既に3万3673枚の円売り越しです。
つまり「ブルーウェーブ=円買い」に賭ける持ち高は、もう積まれていないという状況です。
円高方向に出たときの巻き戻し余地は小さく、逆に円安方向の方が弾みやすい地合いだと私は見ています。

あと株式市場は、既に警戒を始めています。
日経平均は10月30日に63,290円11銭、前日比2.12%安。
NYダウも51,770ドル31セント、同1.09%安。
AI関連の信用不安と重なってリスクを落とす動きが出ているようです。
中間選挙の結果如何ではなく、選挙前に一度ポジションを軽くしておく…そういう動きでしょう。

■ 3つのシナリオと、それぞれの風向き

ここで書くのはレートの見通しではありません。
「どちらに転ぶと、どちらの風が吹きやすいか」という構図を整理しておきます。

**① 民主党が上下両院を制する場合**
財政拡張への期待が後退し、米長期金利の低下とドル安につながりやすい方向です。
FRB人事への議会の影響力が強まり、金融政策の独立性への懸念が和らぐことも長期金利の押し下げ要因になります。
但し予算案を巡る対立が先鋭化すれば、政府機関の閉鎖などを通じたリスクオフの円買いが起きる可能性もあります。
方向は下でも、道筋は一本ではない…そういうことです。

**② 下院は民主党、上院は共和党の「ねじれ」になる場合**
これが今回の本命です。
現在の政策の大枠は維持され、新たな大型財政出動は難しくなります。
相場の反応は限定的で、関心は再び日米の金融政策へ戻るでしょう。

**③ 共和党が両院の過半数を維持する場合**
減税や規制緩和など拡張的な政策への期待から、米長期金利の上昇とドル高が進みやすい方向です。
ドル円が再び160円台を試し、介入への警戒が一気に高まる展開も想定されます。
但し、下院の確率94%を覆すわけですから、起きたらそれ自体が最大の材料になります。

■ 見落とされやすい2つの論点

ひとつめはイラン情勢です。

トランプ大統領は「中間選挙前にはイランを攻撃しない」と明言しています。
言い換えれば、11月3日でその制約が外れるわけです。

選挙後に軍事行動が再開されれば、原油価格の一段高から米消費者物価が上昇し、FRBの利上げ観測が強まります。
これはドル高円安の材料です。
逆に、仲介国を通じた交渉がまとまり、ホルムズ海峡の再開に向かえば、原油安から米長期金利が低下し円高へ振れやすい状況。

ファンダ的には中間選挙そのものより、こちらの方が値幅が出る可能性が高いと私は見ています。
11月3日の投票、その後のイラン判断、そして12月のFOMCと日銀。この6週間は材料が詰まっていますね。

そしてふたつめは選挙後の政権運営です。

3選が認められないトランプ大統領にとって、今回の中間選挙は国民に審判を仰ぐ最後の機会になります。
これを終えれば、世論を気にせず大統領令による単独行動に傾くリスクがあるでしょう。
民主党が議会を握るほど政権は国内で行き詰まり、対外的な成果を急ぐ可能性もあります。
日本にとっては予見可能性がむしろ下がるということです。

さらに民主党が下院を制すれば3度目の弾劾訴追が現実味を帯びます。
予測市場は2028年までの訴追確率を7割近くと見ていますが、上院で3分の2が必要な罷免は2割未満。
但し、この手続きが2027年春から夏に見込まれる債務上限の交渉と重なれば、議会の機能低下が金融市場の波乱要因になるでしょう。

■ 日銀とFRBの「言葉」を振り返る

選挙の前に今週の金融政策を整理しておきます。

FOMCは10対2で政策金利を3.75〜4.00%に据え置きました。
クック理事とハマック・クリーブランド連銀総裁が0.25%の利上げを主張して反対しています。
声明では景気判断が「堅調な(solid)」から「力強い(strong)」に引き上げられ、インフレは「依然として高い水準にある」と明言。
ウォーシュ議長は会見で「物価安定は未達成」「6週間後に何が起きるかは予断しない」と述べ、具体的な指針を示していません。
同時に「政治は今回の決定に全く影響していない」と明言しています。

日銀は10月29〜30日の会合で、政策金利を1.25%に据え置きました。賛成8、反対1です。
植田総裁は基調的な物価上昇率が2%に到達したことについて「目標と整合的な水準」「ひとつの節目」と述べ、利上げを続ける姿勢を崩していません。

日米がともに12月に利上げすれば、名目の政策金利差は変わりません。
為替にとって重要なのは、その先の方向性です。
FRBの利上げが中立水準を超えて最終盤に近づく一方、日銀は中立金利を目指して利上げを続ける…
この構図が鮮明になれば実質金利差は徐々に縮小に向かうでしょう。
逆に原油高で米国の物価上昇が加速すれば、FRBは一段の利上げを迫られ、実質金利差の縮小は見込めません。

■ ここから先の大きな方向性は?

ひとつ断っておきますが、ここで書くのはレートの見通しではありません。
「どちらに転ぶと、どちらの風が吹きやすいか」という構図の整理です。
投資助言でもありませんので、その点をご了承下さい。

円売りの材料は、原油高、2%ポイントを超える実質金利差、そして米国の利上げ継続です。
円買いの材料は、日銀の利上げ継続、ねじれ議会による財政リスクプレミアムの縮小、そしてリスクオフの円買いです。

中間選挙は、このうち「財政リスクプレミアム」の側に効いてきます。
民主党が勝てば、その材料は円買い方向に、少しだけ強まる。
但し、FRB人事とドル信認という別の経路が、それを打ち消す方向にも働く。
一方向に決め打ちできない…これが今回の厄介さです。

私のスタンスは、選挙直前は張らないことです(※短期は仕掛けます)。
結果が判明した直後の動きは、需給とヘッドラインで動く面が大きいでしょう。
上院の接戦州は集計に日数がかかる可能性もあり、最初に出た数字が最終結果とは限りません。
材料の質が変わるのを待ってから、構図のどの位置に立つかを決める…それが私のやり方です。

■ 転換点を読む

最後に、ファンダメンタルズの話をひとつします。

米国は利上げを積み上げる方向に歩み出し、日本も物価2%到達後に利上げを続ける構図です。
「日米の金利差が縮まりにくい=円安一択」という、ここ数年みんなが信じてきた地図は静かに塗り替わりつつあります。
金利差縮小の主役は米国から日本へ交代しつつある。
中間選挙は、この地図に「政治」という第3の変数を書き込む出来事だと思っています。

政治は金利と違って数字では測れません。
だからこそヘッドラインに振り回されます。
測れないものを追いかけず、測れるもの…金利差、需給、政策の方向性…を先に押さえておく。
それが相場観の土台になります。

値動きの上下を当てるより、この「構図のどの位置に立っているか?」を常に把握していること…。
今週はその練習にうってつけの一週間でした。

ここまで読んで頂きありがとうございます。
来週は政治の週です。
ヘッドラインに振り回されないよう、先に構図を決めておきましょう。
ではまた!

 

※この情報は投資助言ではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。又、この記事は、現在のファンダメンタルズに対する私個人の見解をまとめたものです。実際の私のトレード(ハントダウン手法)においては、ファンダメンタルズとは異なる視点でアプローチすることが多々あります。私にとってファンダメンタルズは、あくまで相場の「アクセルとブレーキ」という位置づけですので、その点をご留意の上、一つの参考としてお読みください。